使用機器について

新宿代々木市民測定所では、下記の機器を使用しています。

・ゲルマニウム半導体検出器 (初号機改GCD-60200、弐号機GCD-70200)
BSI社製ゲルマニウム半導体検出器 (初号機改GCD-60200、弐号機GCD-70200)

微量の放射能測定ができるため、食品や様々な環境試料の高精度な放射能(ガンマ線)測定が可能です。検体が少量しか無い、より細かく測定を行いたいという方向け。自然放射性物質の誤検出が少ないのが特徴です。

こんな方にオススメ:

・放射性物質がどれだけ入っているか正確に知りたい。
・子供用の食品を測りたい。
・毎日沢山食べる、お米などはなるべくきちんと測りたい。
・農産物や食品などを販売しているので、より詳細な結果が欲しい。

【測定核種】
・Cs(セシウム)-134、Cs(セシウム)-137、I(ヨウ素)-131、K(カリウム)-40

【測定容量】
・2L、1L、500mL、200mL、70mL
(検体に合った状態で測定します)

【測定時間】
・1時間、4時間、16時間の3種を選択

【検出限界の目安】
※検出限界は2Lマリネリ容器にて、
密度1の検体を測定した時のCs-137のおおよその目安です。

【測定料金】
測定料金の一覧はこちら

その他

※当測定所では、元東大アイソトープ総合センターの小泉好延さんに、顧問並びに技術面のご指導をいただいています。

GCD-60200の鉛遮蔽体の問題について
現在、鉛遮蔽体のバックグラウンドに人工放射能 Ag-108m に対応するγ線(434、615、723kev)が存在します。そして、代表的な天然核種を除き、明確に存在するのはこの3本のみです。

434kev に近接し、混同する可能性を考え得るピークとしては I-132、La-140、Ba-140が有りますが、これらの核種に必ず付随する別ピークはありません。
614kev に近接、混同する可能性を考え得るピークとしては Ru-106がありますがこの核種に必ず付随する別ピークはありません。
723kev に近接、混同する可能性を考え得るピークとしては I-131、Zr-95、がありますが、これらの核種に必ず付随する別ピークはありません。
また Ag-108m に由来する筈であって、見当たらないピークもありません。
以上から、この3本は Ag-108m と断定しました。

Ag-108m は環境中からはイカの内蔵等からごく微量検出されるのみであり
(https://picasaweb.google.com/lh/photo/76RCf4L8QekrZrUYeraby9MTjNZETYmyPJy0liipFm0)、
これはチェルノブイリ原発事故の前後でも変わりがありませんでした。(Ag-110m は明らかに増加しています)
これらの事情により、試料中に Ag-108m 自身が存在しない限り、試料分析・測定の障害にならない事が分かります。
生成プロセスとしては、安定 Ag-107 の中性子捕獲が報告されていますが、これでは環境中への放出も考えにくい事になります。核分裂物質としては報告されていないようです。

引き続き、調査いたしますが、ゲルマニウム半導体検出器は高い分解能を持っており、Cs-137 の662keV、Cs-134 の605、796keV のピークは、十分に離れているため、放射性セシウムの測定には問題ありません。
現在、遮蔽体の交換準備を進めており、問題は解決する見込みです。
大変申し訳ありませんが、当面は遮蔽体にこの問題があることを前提として、ご利用ください。

(追記)
初号機(GDC-60200)遮蔽体の問題を解決するため、BSI社より低バックグラウンド鉛を購入し、既存の遮蔽体(厚さ100mm)の内側に追加遮蔽体(厚さ20mm、Pb-210<5Bq/kg)を追加しました。このことにより初号機のバックグラウンドは、大幅に改善され、Ag-108mのピークも緩和されました。これにより初号機改(遮蔽体100+20mm)では、良好な状態で測定することが可能になりました。